FXは外貨預金と比べ、圧倒的に手数料が安くなっています。外貨預金の場合外貨を買う(円を売る)場合はTTSというレート、外貨を売る場合はTTBというレートを使います。アメリカドルの場合、TTSは仲値より1円高く、TTBは仲値より1円安くなっています。つまり1ドルを買ってからすぐにその1ドルを売ると、2円損することになります。
それに対し、FXでは手数料はゼロ〜10銭ほどです。ただ、売値と買値の差額(スプレッドといいます)がドル円の場合で5銭ほど離れているため、その分は利用者のコストになります。スプレッドを考慮してもFXの方が外貨預金よりも圧倒的にコストは低いです。
取引時間も外貨預金とFXとでは違います。外貨預金の取引レートは、一般的には朝10:00の仲値が基準とされます。その日は一日中、そのレートが利用されます。利用できる時間も、銀行が開いている時間に限られます。
FXでは、取引レートは24時間、常に変動します。そのため、いつでも実勢レートにあわせて取引をすることができるのです。大きなニュースがあった場合など、為替レートは1日で大きく変動します。外貨預金であれば、翌日の10:00まで、変動しているレートを見ているしかありません。ニュースを見てからすぐに損切りをしたり、買い増しをしたりはできないのです。
日本で仕事をし、日本で生活している場合、ほぼ全ての方が円を使って生活をしています。そのため、手持ちのお金は円しか持っていない方がほとんどです。そのため、外貨預金を始める際は円を売りドルなどの外貨を買う、という流れになります。円高の時に外貨を買っておき、円安になったら売るわけです。しかしその場合、これから円が高くなりそうだ、という場合は外貨を買うわけにはいきません。それに対し、FXでは売りからでも買いからでも取引を始めることができます。これから円高になりそうだというときは外貨売り(円買い)から取引を始めれば、収益を得ることができます。
もう一つ、外貨預金との大きな違いは、FXは「証拠金取引」である、ということです。証拠金を担保として預け、実際の取引はその何倍もの金額を動かすことができます。それに対し、外貨預金は、取引する分の日本円が必要になります。
外貨預金を取り扱っているのは銀行です。地方銀行なども含め、銀行がつぶれる可能性は低いと考えるのが一般的です。それに対し、FX業者は銀行と比べると財務上脆弱な業者もあり、信用リスクは銀行の方が上のように思えます。しかし、最近では、顧客から預かった資金を信託銀行に預託し、万が一業者が倒産したとしても顧客の資金を保全する仕組みを取るところがほとんどです。そのため、信用リスクをくらべても、外貨預金とはほとんど差がないのです。
外貨預金は預金保険の対象ではないため、万が一銀行がつぶれた場合、預金が失われてしまうリスクもあります。信託分離保管をしているFX業者であれば、たとえその業者がつぶれたとしても資金は失われません。信用リスクだけを比べても、外貨預金の方が優れているとはいえないのです。