通常、ある国の株価が上がると、その国の通貨も上がります。株式市場が好調なため、海外からの投資の資金が流入するためその国の通貨が買われるからです。また、景気が良くなって株価が上がると、政府は金融引き締めのために金利を上げる傾向にあります。そうするとその高金利をもとめて海外からさらに資金が流入するのです。
もちろん、例外もあります。サブプライムローン問題が表面化した後、日本では株安と円高が同時に進行しました。これはアメリカ経済の先行き不安からドルが売られ、結果として円が買われたという面、さらに信用収縮で世界中の株式市場から資金が引き揚げられたため、東京市場でも株安になったのです。
上記の例と反対に、2005年移行は株高と円安が同時に進行しました。これは、量的緩和政策を日銀が続けていたために金余りな状態が続いていたことが原因です。余った資金の一部が株式市場に流入したため株高に、一部が外債投資など外国に流れて円安になったのです。
このように、基本的に日本株高の時は円高に、日本株安の時は円安になるといっても、株式市場との関係だけでは為替は動かないのです。日本が株安になってもそれ以上にアメリカが株安になった円は買われる方向に動きます。株式市場の為替に与える影響力は近年では特に限定的になってきました。